冷却CCDとLRGBフィルターの組み合わせ

最近、更新が無かったので、モノクロ冷却CCDとこれに使うLRGBフィルターの種類が、増えてきたので
CCDの感度特性とフィルターの透過特性からモノクロ冷却CCDとLRGBフィルターの組み合わせを考えて
みました。

CCDの波長特性

冷却CCDに使われているCCDは、機種によって感度の波長特性が異なり、主なCCDの感度曲線は、以下の
ようになります。

イメージ 1


KAF8300
イメージ 2


KAF6303
イメージ 3



CCDそれぞれの特徴

KAF3200ME
 ST-10やQSI532などに使われているCCDで、最も感度が高く、650nmでQE値87%とHa線の波長で
 最高値になるという天文専用のようなCCDです。
 しかし、1ピクセルサイズ6.8uで、300万画素と高精細なために光学系を選ぶCCDです。

KAF1603ME
 ST-8やQSI516などに使われているCCDで、KAF3200に次ぐ感度高さを持っているCCDです。
 感度特性的には、KAF3200に近いです。
 1ピクセルサイズ9uで、160万画素と小さいので、系外銀河向きでしょうか。

KAF6303E
 STL-6303などに使われているCCDで、感度的には、3番目で、KAF1603MEの大面積版的なCCDです。
 1ピクセルサイズ9uの630万画素のAPSサイズのCCDです。

ICX285AL
 天文用としては、唯一のSONY製のモノクロCCDです。感度的には、4番目とかなりの高感度で
 1ピクセルサイズ6.45uで140万画素と高精細。
 波長特性は、さすがにSONY製で、可視光の波長で、滑らかな曲線で、ソツのないCCDですね。
 SXVFR-H9やBJ-41Lなどに使われているCCDです。

KAF8300
 ML8300やQSI583などに使われているCCDで、感度はICX285ALと同じくらいですが、1ピクセル
 サイズが、5.4uとICX285ALよりも高精細で、830万画素と面積も大きい。

KAI4021、KAI4022
 QSI540などに使われているインターライン型のCCDです。1ピクセルサイズ7.4uの400万画素の
 CCDです。インターライン型のKAIシリーズのCCDは、フルフレーム型のKAFシリーズと比べると
 感度が、低くなります。

KAI11002
 STL-11000やML11000に使われているCCDです。感度的には、KAI4021、KAI4022に近い感度です。
 1ピクセルサイズ9uの1100万画素の35mmフルサイズCCDです。

KAI16000
 あまり見かけないCCDですが、1ピクセルサイズ7.4uの1600万画素の35mmフルサイズCCDで、
 FLIのML16000やPL16000、Starlight XpressのSXVF-H36に使われているCCDです。
 KAI11002に近い感度特性ですが、感度は、KAI11002よりも低いです。

CCDの感度曲線の波長特性を見るとKAFシリーズは、KAF8300を除くと赤感度が高いので、Haフィルターでの
モノクロやSAOなどのナローバンドカラー合成に向いています。
KAF8300は、デジカメ用のセンサーなので、KAFシリーズとしては、青感度が、高いので、散光星雲の
RGB合成にも向いていますね。
KAIシリーズは、青感度が高く、OIIIの波長で最高感度になるので、KAFシリーズよりも散光星雲の撮影に
向いているCCDですね。


各社のLRGBフィルターの波長特性


Astronomik LRGB Type2C
イメージ 4


Baader LRGB
イメージ 5


SBIG 1.25inch
イメージ 6


SBIG 50mm
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Astrodon E-Series
イメージ 8


Astrodon I-Series
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各社、各フィルターの波長特性は、いろいろですが、AstronomikのLRGBフィルターは、他のフィルター
に比べるとOIIIの透過特性が、低いですね。

LRGBフィルターとCCDの相性

LRGBフィルターとCCDの相性は、AstronomikのLRGBフィルターは、他のフィルターに比べるとOIIIの透過性が、
低いので、OIII付近の感度の低いKAFシリーズとは、相性が、良くないように思われます。
KAF8300は、他のKAFのCCDよりも青感度が高いですが、OIIIの感度が、Haと同じくらいなので、青い星雲には、
Bの露出時間を長くする方が、良いようです。

KAIのCCDは、OIIIの感度が高いので、散光星雲にはBaaderなどのOIIIの透過特性の良いLRGBフィルターを
使うのが良いようです。

冷却CCDとフィルターの組み合わせ

現在、冷却CCDは、QSI540、QSI583、SXV-H9、フィルターは、Astronomik LRGB Type2C、Baader LRGBを
持っているので、撮影対象と冷却CCDとフィルターの組み合わせとしては、

  散光星雲:QSI540+Baader LRGB 
  系外銀河:QSI583+Astronomik LRGB Type2Cまたは、Baader LRGB
  Ha   :QSI583+Haフィルター

SXV-H9は、CCDの感度特性からオールマイティーに使えるカメラなので、系外銀河や小さな散光星雲用に
使えますね。

散光星雲を主な撮影対象とするのでしたらチップ面積と感度特性からKAI11002を使った冷却CCDで、OIIIの
透過特性の良いLRGBフィルターの組み合わせが、お勧めでしょうね。
最近は、KAF8300を使った冷却CCDが、安価なので、多く使われてきていますが、KAF8300は、個人的には、
散光星雲よりも系外銀河に向いていると思いますね。
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[ 2010/04/25 04:46 ] 機材 | TB(0) | CM(12)