前回、系外銀河のHⅡ領域を強調する方法を書きましたが、過去に撮影したM101の画像で、
R画像にHaをブレンドしたものとR画像のみの画像を比較してみました。
左:露出時間 L 10分×2 R 5分×4 GB 5分×2 Ha 10分×1
右:露出時間 L 5分X10 RGB 4分X5
共通データ
フィルター Astronomik LRGB Type2Cフィルター + Ha13nm
望遠鏡 FSQ-106N
カメラ SXV-H9 + Atik EFW
ガイドカメラ OAG9+SSAG
赤道儀 EM-200Temma2
左が、R画像にHaをブレンドした画像で、右が、R画像のみの画像です。
撮影時期、露出時間、コンポジット枚数が違うので、かなり画像の質が、違いますが、
Ha画像が、10分1枚でも混ざるだけで、M101銀河の中にある大きな散光星雲である
HⅡ領域が、強調されているのが良く分かると思います。
M101ならば半値幅13nmのHaフィルターで、10分3枚もあれば、もっとはっきりM101の
HⅡ領域が、分かるようになると思います。
また、系外銀河のHⅡ領域を強調するには、半値幅の広いHaフィルターが、有効であると
いうことも分かると思います。
ことにM51、M81、M101、M106などのHⅡ領域が、よく分かる系外銀河には、向いていると
思います。
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今年になってから週末の天気が、悪く撮影できていません。私は、系外銀河が好きなので、
この時期が、一番楽しみなのですが、しかたないですね。
系外銀河の撮影が、できないので、系外銀河のHII領域を強調する方法を書きます。
系外銀河でもM81やM101には大きな散光星雲が、腕の中にポツポツと写りますが、これを
強調して表現することは、なかなか難しいですよね。
この系外銀河の中になる大きな散光星雲の塊のHII領域が、強調できない理由は、天文学の
基礎的な知識が、あれば容易に分かると思います。
答えは、簡単、”宇宙は、加速膨張している”ということです。つまり、系外銀河は、私達の
銀河系が、属している局部銀河群のアンドロメダ銀河や大、小マゼランなど一部の系外銀河
以外は、私たちから遠ざかっており、その光は、近い系外銀河であっても赤方偏移の影響を
受けているということです。
系外銀河は、アンドロメダ銀河や大、小マゼランなど一部の系外銀河以外は、比較的近い銀河でも
宇宙の加速膨張に伴う赤方偏移の影響があります。
つまり撮影する系外銀河の光の波長が、全体的に波長の長い赤にシフトしています。
ことにHaの波長は、656nmよりも微妙ではありますが、波長が、長くなっています。
そこで、M81やM101、M106など比較的HII領域が、はっきりと分かる系外銀河の撮影で、HII領域を
強調するために散光星雲を撮影するときに使われる半値幅の狭いHaフィルターを使用し場合、
系外銀河から出ているHaの波長のピークが、656nmよりも長くなったことでHaの光の透過率が、
低くなり系外銀河のHII領域を強調することが、難しくなります。
そこで、系外銀河のHII領域を強調するためには、半値幅の比較的広いHaフィルターを使用すれば
ストライクゾーンが、広くなり系外銀河のHII領域を強調させることが容易になります。
ただし、散光星雲の画像にHa画像をブレンドするとカラーバランスが、崩れるのは、同じなので
画像処理の手間は、散光星雲の画像処理と同じです。
下の画像は、過去にAstronomikの半値幅13nmのHaフィルターを使用して撮影したM81とM106の
画像です。半値幅が、13nmになるとHaの波長が、多少赤方偏移しても透過率が、高いので、
R画像にHa画像をブレンドすると系外銀河のHII領域がよく出ます。
M81
撮影年月日:2013年1月12日
撮影地 岡山県大芦高原
露出時間 L 10分X7 R 5分X4 GB 5分X3 Ha 10分X2
フィルター Astronomik LRGB Type2Cフィルター + Ha13nm
望遠鏡 FSQ-106N
カメラ SXV-H9 + Atik EFW
ガイドカメラ OAG9+SSAG
赤道儀 EM-200Temma2
M106
撮影年月日:2013年1月12日
撮影地:岡山県大芦高原
露出時間:L 10分X5 R 5分X3 GB 5分X2 Ha 10分X2
フィルター:Astronomik LRGB Type2Cフィルター + Ha13nm
望遠鏡:FSQ-106N
カメラ:SXV-H9 + Atik EFW
ガイドカメラ:OAG9+SSAG
赤道儀 :EM-200Temma2
どちらの画像もHaが、10分2枚しかブレンドできていませんが、銀河内のHII領域が、よく分かる
ようになっています。Haを10分4枚くらいR画像にブレンドすればもっとはっきりと銀河内のHII領域が、
分かるようになると思います。
最近では、Baader Planetariumから半値幅35nmのHaフィルターが出ているので、これですと
このHaフィルターをRフィルターにするとHaフィルターでの撮影が、必要なくなるかもしれない
ので、機会があれば試してみたいと思います。
この3連休は、新月でしたが、近畿周辺は、出かけるにはよいお天気でしたが、撮影、観望には
ダメダメなお天気でしたね。
で、遠征には、出るお天気ではありませんでしたが、自宅で、テストをするくらいは、できる
お天気でしたので、12月の遠征で、EM-10で、自作の自動導入モータードライブを使ったときに発見
した高速モードにすると微妙に恒星時追尾しないバグを年末年始の休み中にプログラムのバグ修正を
したので、この3連休に自宅ベランダで、テストしましたが、まだ、どうも微妙なところで、動きが、
おかしい。
で、プログラムを見直してもおかしな所は、無かったので、オシロで、いろいろ信号を確認すると
モーターの制御信号の一部が、正確に出ていないことを発見してしまいました。
で、回路図と基板パターン図、それと実際の基板の配線パターンをルーペで、見ながら確認すると
配線の一部に微細なショートがありこれが原因で、モーターが、正確に制御できていなかったようで
このショートをの部分のパターンを修正すると、おかしかった部分の動作も正常に動作するように
なりました。
自作の自動導入モータードライブの基板は、両面2層の基板を感光基板を使ってエッチングで、自作
しているのですが、微妙なエッチングのムラがあり、微細なショートが、起きていたようです。
作ってかなりたちますが、こういうハードの微妙な異常は、よく使ってみないと分からないものです。
これでまた、近いうちに自宅ベランダでテストです。
それよりも驚きだったのは、価格が、Temma2MよりもEM-11が、約7万円、EM-200が約10万円近く
安くなったことでしょう。Temma2Mが、生産中止直前にTemma2Mを購入された方は、痛いかも
しれませんね。
Temma2Zでは、Temma2Mで使用していた電子部品や電装品が、ディスコンになり、新しい
部品になったとのことですが、ここまで価格が、下がるのは、タカハシの企業努力もあると
思いますが、Temma2Mは、どれだけ高価な部品を使っていたのかと思いますね。
もしかしてTemma2Mまでは、マイコンは、三菱やルネサスの特殊なものとか、コネクタ類は
全てヒロセとか使っていたのでしょうかね?
何にせよタカハシの赤道儀が、少し安くなって購入し易くなったのは、ありがたいことです。
新年あけましておめでとうございます。
今年も、宜しくお願い致します。
ブログの更新少ないですが、天気が、良ければ頑張って撮影するかな?
いや、するでしょう。