これまでに分かったPoleNavigatorの使い方を書きます。
カメラとレンズ
私は、ZWOのASI120MMを持っているので、これを使います。
ASI120MMには、2.1mmのレンズが、付属していますが、これでは焦点距離が、
すぎるので35mmF1.7のCマウントレンズを購入しました。
ここで、注意することは、ASI120MMは、Cマウントではなく、CSマウントなので、
Cマウントレンズを付けてもピントが、出ません。そこで、CマウントをCSマウント
に変換するリングも購入しました。CマウントCSマウント変換リングは、通販で、
購入できますし、防犯カメラを扱っているお店があれば、そこでも扱っています。
今回、35mmのレンズを購入しましたが、使ってみると、これでは、焦点距離が、
長くて使い勝手が、悪いです。極軸を合わせるのに使うのであれば、焦点距離が、
8~12mm位のレンズが、よいと思います。
PlaneSolve2の設定
PlaneSolve2は、PoleNavigatorに付いているので、改めてダウンロードする必要は、
ないです。
PlaneSolve2は、これ単体では、機能しません。PlaneSolve2を使うためには、星図
データが、必要になります。
星図データは、PoleNavigatorのマニュアルにも書かれていますが、以下のサイトから
何れかをダウンロードして、インストールします。
PlaneSolve2への星図データの登録は、マニュアルに書かれているので、参照して
ください。
1ピクセルの横の視野の計算
PoleNavigatorは、QHY 5L-IIM+35mmレンズが、デフォルトようなので、この組み
合わせで、使う場合は、設定の変更は、必要ないと思われますが、カメラやレンズを
変えると、その組み合わせに合った設定をする必要が、あるので、詳しく説明します。
カメラとレンズをデフォルトの組み合わせから変更した場合、1ピクセルの横の
視野の設定値ASPPを計算する必要が、あります。これは、マニュアルにも書かれて
いますが、これを読まれて、理解できる人は、少ないと思います。
ことに逆三角関数の計算が、分からないと思います。
PoleNavigatorで使用するASPPの値は、1画素の横の視野(FOVpp)になります。
このサイトは、JavaScriptで、作成されているので、ダウンロードして、PCに保存して
おけばスタンドアロンでも使えます。
電卓で計算する場合、1ピクセル分の視野角の一般的な計算式
ASPP = (206*1ピクセルサイズ(um))/焦点距離(mm)
で、計算できます。
PoleNavi.iniの設定
PoleNaviの動作を設定するPoleNavi.iniは、Verにより多少違いますが、以下の
ようになっています。
PoleNavi.iniファイルは、マウスでPoleNavi.iniを選択して、右クックして編集(E)で、
表示されます。
ASPP:15.4
Exposure:800000
Gain:50
Title:Asagiri Arena
Longitude:138.35
Latitude:35.384
ARcorrect:0
DispWidth:640
DispHeight:480
CamWidth:1280
CamHeight:960
WDMflip:1
PS2Tout:20
個々の設定項目の解説は、マニュアルを参照してください。ここでは、使用するときに
必要な設定を書きます。
PoleNaviを使用するときに必要な設定項目は、ASPPとLongitude、Latitudeになります。
ASPP値:1ピクセルの横の視野の計算で、計算した値
Longitude:経度 東経
Latitude:緯度 北緯
LongitudeとLatitudeの値は、赤道儀を設置した場所のデータです。
緯度、経度のデータは、スマホやタブレットのGPS機能を使えばすぐに現地で、測定できます。
他の項目については、必要が、あれば使用する環境に合わせて変更してください。
PoleNaviの起動
PoleNavi.exeをクリックするとカメラが、接続されていない場合やQHY 5L-IIM
以外のカメラが、接続されているとPoleNaviのシミュレーターが起動します。
PoleNaviの起動は、コマンドプロンプトからコマンドを入力して行うことが、
基本になっています。なので、コマンドプロンプトを起動して、PoleNaviのある
フォルダーに移動して、必要な起動オプションを追加してPoleNavi.exeを起動します。
カメラが、ASI120MMで、PoleNaviが、EドライブのPoleNavi031にある場合、以下の
ように起動します。
E:\PoleNavi031>PoleNavi.exe /A
例えばEドライブのPoleNavi031からPoleNaviを起動するBATファイルは、以下のように
なります。
e:
cd PoleNavi031
PoleNavi.exe /A
無事にPoleNaviが、起動すれば以下のような画面が、表示されます。
極軸の設定
無事に使用環境に合った設定が、できれば、後は、マニュアルに従って極軸の
設定動作を行ってください。
露出時間やゲインは、空の状況やレンズの絞りなどに影響されるので、いろいろ
試して、よいところを記録しておけばよいと思います。
カメラの取り付ける場所
PoleMasterは、赤道儀の極軸望遠鏡の位置に付けるようになっていますが、
PoleMasterもPoleNaviも撮影した画像から北極星の回転を解析して、回転の
中心を割り出して、極軸を合わせるので、赤道儀の赤経の回転軸とカメラの
中心軸が、平行で、カメラの写野内に北極星が、写っていれば撮影した画像から
北極星の回転を解析できるので、カメラは、赤経の回転軸上にある必要は、無く、
オフセットしていても使えます。
どうでしたでしょうか?
設定が、非常に厄介なソフトですが、動作すれば使い易いソフトだと思います。
現在、設定が、簡単に出来るソフトをVB.NETで、作成中です。
完成すれば、ここで、公開する予定です。
スポンサーサイト
フリーの電子極望ソフトPoleNavigatorを使ってみた感想を書きます。
このPoleNavigatorは、北極星周辺の星を利用して3つの動作で、極軸を割り出して、
極軸を合わせるを支援するソフトです。
このソフトの良いところは、QHY、ZWOと一部のWebカメラが、利用できるのと、極軸を
合わせるためにPlaneWaveInstruments社のPlaneSolve2というソフトを利用して撮影した
画像を解析して極軸を割り出すので、かなり正確に極軸を合わせることが、できることです。
悪いところは、使用する環境に合わせた環境設定を行うのが、PCの設定などの知識が、
必要で、面倒なところです。
以下に良いところと悪いところをまとめてみました。
良いところ
・複数メーカーのカメラを利用できるので、PoleNavigatorで、使えるカメラを持って
いれば新しくハードを揃える必要が、無い。
・3つの動作で、撮影した画像から極軸を割り出すので、極軸を合わせるのが、早い。
悪いところ
・PlaneSolve2で、撮影した画像を解析に使う星図データのインストールとPlaneSolve2の
設定が、PCに詳しくないと面倒。
・PoleNavigatorを動作させる設定ファイルを変更するツールが、無いので、クリックと
ドラッグアンドドロップ動作でしか操作できないPC初心者には、非常に使い辛い。
・使用するカメラやレンズに合わせた設定するための計算が、難しい。
・ソフトが、基本DOSコマンドで、起動するためにPCに詳しくないと使えない。
以上からこれまでに使ってみた感想は、使用する設定が、できれば簡単な操作で、手持ちの
機材で、PoleMasterと同じ方法で、極軸を合わせることができますが、使用するカメラや
レンズに合わせた設定するための計算が、難しいことやDOSの時代からPCを使っていて、
INIファイルやBATファイル変更、DOSコマンドからのソフトの起動などの知識あれば使え
ますが、Windows OSしか使った経験しかない人には使い辛いのとろがあるので、非常に
残念なソフトです。
私のように昔からPCを使っていて、ソフトの開発経験のある者ならば使えますが、一般的な
ユーザーとしては、使えないと思えるので、非常に良いソフトなので、今後の発展としては、
一般の人にも使い易いように開発者の方には、VBやC#なりで、一般的なWindows用ソフトに
することを希望しますね。
次回は、PoleNavigatorの詳しい解説を書きます。
このところ山に山菜取りや釣りに行って、熊に襲われるニュースが、報じられて
いますが、高野辻ヘリポートも地元の人の話では、熊が出るそうです。
行かれる方は、注意してくださいね。
熊に限らず天文では、山奥に行くので、野生動物に出会うことが、多いです。
ボーイスカウトにいた時に習ったことですが、シカやタヌキなど野生動物に出会っても
決して近づいたり刺激しないことです。
ことにイヌ科のタヌキやキツネは、野生では、今でも狂犬病を持っていることがあるので、
触れるのは、危険です。
野生動物は、ペットや家畜と違い思わぬ病気を持っているので、もし、噛まれたり、
かかれたりして、傷を負った場合は、すぐに病院に行き、医師に相談してください。
あと、鳥を含めて、動物の死体には、決して近づかないことです。これは、生きている
動物よりも危険です。ことに鳥は、鳥インフルエンザの可能性があるので、要注意です。
こうした野生動物と不用意な接触を避けるためには、こちらが、彼らが、近づかない
ようにすることが、一番です。
まず、食べ物は、なるべく匂いが、出ないようにして車の中に保管する。できれば
クーラーボックスに入れておくのが、ベストです。
彼らは、食べ物を求めているので、これは、基本です。
次に音を出す。熊が、出るところで、登山や山仕事をする場合、鈴を身につけて、
絶えず鈴の音が、するようにしますが、これは、人が、ここに居るという意思表示
になるからです。
これと同じように撮影などで山に行ったときは、夜の間、ラジオや音楽を流して
おけば、野生動物は、音に敏感なので、有効です。
発電機は、もっと有効です。
天文では、発電機は、いやがれる方が、おられますが、野生動物除けでは、エンジン音と
排気ガスを出すので、非常に有効です。
発電機を使う場合、1台で5、6人の機材に電力を供給できるので、使う場合は、居る人に
声をかけて皆さんで、使うようにすれば良いと思います。
私たちは、そのようにして発電機を使って来ました。
これから梅雨が、明ければ夏本番で、山に撮影、観望に出かけ易くなりますが、
くれぐれも野生動物には、注意しましょう。
梅雨入りして8月の初めくらいまで休戦ですね。
皆さん、この時期は、機材整理や過去に撮影した画像を画像処理し直しておられる
のでしょうかね?
2011年4月29日に撮影したNGC6559を画像処理し直してみました。
NGC6559
露出時間:L 8×10分 RGB 4×5分
冷却温度:-20℃
フィルター:Baader Planetarium LRGBフィルター
望遠鏡:FSQ-106N
カメラ:QSI583 WSG
ガイドカメラ:SSAG
赤道儀 :EM-200Temma2
NGC6559は、星雲の下の明るい領域で、この”猫の手?”、”熊の手?”に似た星雲は、
NGC6559、IC4685、IC1274、IC1275などで、構成されています。
また、周辺に暗黒帯が、取り巻いていて、面白い領域です。
この領域は、日本では、”猫の手星雲”と呼ばれていますが、本当の”猫の手星雲”
Cat Paw Nebulaは、NGC6334で、日本では、”出目金星雲”とよばれている星雲なのですよね。
この星雲は、隣にM8があり、同一写野で撮影されますが、ここを単体で、撮影するには、
M8が、邪魔で、写野から追い出すのですが、撮影面積が、大きいとM8が邪魔です。
できればもう少し焦点距離の長い望遠鏡が、フォーマットの小さなカメラで、撮影し
直したい対象ですが、それは、来年以降でしょうね。