VSD100F3.8生産終了

先日、VixenのVSD100F3.8が、アナウンスもなくひっそりと製造終了と、
いくつかのブログに書かれていました。


この望遠鏡は、Vixenが、ペンタックスから125SDPと100SDUF IIの
製造技術を買い取って作った望遠鏡でした。当初は、125SDPのモデルも
出すとされていましたが、125SDPのモデルは、製造コストから採算が
合わず、試作のみで、終りました。
125SDPの試作鏡筒は、各地の星祭りで、Vixenのブースで、展示、観望
されていたのを見た人も多いと思います。私も星をもとめての会場で
Vixenの担当の人から説明を受けました。
そのとき、VSD100F3.8は、何とか採算が、取れるということで、販売する
ことが、できると聞いた記憶が、あります。

VSD100F3.8ですが、100SDUF IIの二番煎じの否めない望遠鏡だと思い
ましたね。というのも、銀塩時代よろしく、接眼部が、大型のヘリコイド、
VSD100F3.8の販売が、始まった時すでに撮影用の望遠鏡は、RoboFocusなどの
フォーカス機器で、オートフォーカスする時代になっていて、フォーカス用の
モーターが取り付けられない大型ヘリコイド接眼部は、時代遅れでした。
このことは、星をもとめての会場で、Vixenの人に話しましたが、聞く耳を
持っておられませんでした。

望遠鏡としても125SDP、100SDUF IIは、仲間内で、持っている人が、何人か
おられて、さわらせてもらったことが、ある望遠鏡ですが、さすがカメラ
メーカーが、作った望遠鏡で、素晴らしい望遠鏡でした。ことに大型の
ヘリコイドは、カメラレンズのヘリコイドを作る技術で、作られているので
大きいのにガタも無くスムースに動くのは、素晴らしかった。
それに比べてVSD100F3.8のヘリコイドは、外観こそ100SDUF IIそっくり
でしたが、動きは、100SDUF IIとは比べものにならなくて、がっかりした
ことを覚えています。

また、競合機で、タカハシのFSQ-106EDが、あったことも不運だったと思い
ますね。VSD100F3.8は、中心星像は、FSQ-106EDより劣るものの良像範囲は、
100SDUF IIと同じ6×7フォーマットをカバーするものでした。
しかし、これだけの良像範囲を使えるカメラは、FLIやApogeeの大型センサー
搭載のハイエンド機くらいで、一般ユーザーでは、大きくても35㎜フルサイズで
これを超える良像範囲が、あっても無駄に大きいだけでした。
価格も鏡筒本体のみの価格で、FSQ-106EDの方が、安く、同じ金額で、レデューサー
も買えるとなると苦しくもなると思います。

そして、最近では、FSQ-106EDと同じペッツバール型の光学系をもつWilliam
OpticsのRedCat51 f/4.9の登場が、”トドメ”になったと思います。
RedCat51は、口径51㎜ F4.9とVSD100F3.8の口径100㎜ F3.8からすると小さく
暗いですが、焦点距離が、250㎜と望遠レンズ程度で、小さくて、コンパクト
ピント機構が、VSD100F3.8と同じヘリコイドですが、ここまでコンパクト
ならば望遠レンズと同じ考えれば、アドバンテージにはならいでしょう。
何よりも価格が、10万円程度と手ごろとなれば、不利なのは明らかでしょう。

Vixenも125SDPや100SDUF IIと同じ望遠鏡を作るのではなくて、同じペンタッ
クスの105SDPの素直な屈折をレデューサーなどを含めて継承して、製造、
販売していれば、売れていたと思いますし、105SDPを発展させて、”130SDP”
なんて出していたら今ごろタカハシのTOA-130といい勝負をしていたかも
しれません。

VSD100F3.8は、2013年発売で、2020年終了と販売期間7年は、望遠鏡としては
短かったですが、売れないのであれば、損害が、これ以上大きくならない
ように販売終了にするのは、正しい判断だと思います。
それにしてもVixenのマーケティングミスは、大きいと思います。
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[ 2020/07/30 19:55 ] 機材 | TB(-) | CM(0)